2011年2月27日日曜日

定山柱 2011.2.27

前回の美笛の滝でのリードで気を良くして、今度は布引の滝へ向かう。
自分にとって、リードでなら手強いラインがいくつかあり、技術向上には打ってつけだ。
ところが現地に着いてみると、どうもこれまでより氷が薄い。
実際、アイゼンで強く蹴ると氷が割れてしまい、中で滝が音を立てて流れているのが見え
てしまった。
数日、続いた暖気で融けて来たか。
これは厳しいかな。
経験豊富なクライマーなら、おそらくこれはこれで、良い機会として登れると思うけど、僕は
慎重を期して他の滝へ転進する事とした。


転進先は定山柱。
布引きの滝から車での移動もすぐで、アプローチはほぼゼロ分だ。
ここでも基本、リードでのクライミング。
まずは大きな氷瀑のすぐ横にある、小さな氷で垂壁でのリードに慣れる練習をする。
以前、濃昼の方の「港の滝」で登ったように高さが無ければ、ぐだぐだしながらでも一応は
形にはなる。
次はいよいよ、本体の氷。
垂壁とは言え、氷自体ぽこぽこと穴だらけで、難易度はかなり楽になっているはずだ。
(穴だらけになっている理由は不明。たくさんのクライマーが登っているから?暖気で融け
  てゆく過程の現象?)

クライミング開始。
下部の傾斜がある部分はプロテクションの必要を感じ無いほど楽に登れる。
中間テラス。
いよいよ、ここから垂壁部分だ。
しっかりと効きそうな氷にスクリューでプロテクションを取り、テラスから垂壁に身体を乗り
出す。
「こ、こわい、、」
トップロープでは駆け足で登れるほどの壁がリードになるとこうも恐ろしいものか。。
少しランナウトするともう、「この後、進退窮まったらどうしよう?」「プロテクションがうまく取
れずにフォールしたら?」「フィフィでテンションしたアックスが抜けたら?」などなど、マイナ
ス要素ばかりが頭に浮かぶ。
(まあ、そういった事を想定して危険を回避するように脳みそは出来てるだろうから当然か
。。)
結局、なんとか、足元スクリュー辺りまで体を上げた状態で心が折れ、アックステンション。
「参りました。。。」、ビレイヤーにロワーダウンを頼む。

その後、トップロープで同じ垂壁を登ってみるとまったく難しさも恐怖も感じず。
アイスでのリードとはこういうものなんだろうなと改めて痛感。
夏場のフリーでは落ちれれるのにアイスではダメ。
要はメンタルをコントロールして登るしかないという事なのだろうな。

う~ん、ただ、こういうクライミング、たまらん、、
フリーの自己最高難度を更新出来た時ももちろんうれしいけど、こういう、自分をコントロー
ルして得た結果にとても充実感を感じる。
今回もわずかだけど、一応、戦いはした。(笑)

来季、技術向上を遂げるための方法論としては。
 ・スキル
  トップロープで確保しつつ、リードで行う作業を何度も演習する。
  その後、同じラインでリードを行い、ゆくゆくはリードを確実にマスターする。
 
 ・メンタル
  トップロープではとても簡単でまず落ちないのだから、リード時もその事実をよくよく理
  解する。
  プロテクションをまとめ取りしても良いので、とにかくランナウトに耐えて、その状況に
  慣れる。

 ・装備
  装備を可能な限り効率良く、最良の状態に整える。
  素早く貫入出来る、切れるアイススクリューを必要数揃える。
  スクリューやヌンチャクを素早く脱着出来るギアラック。
  必要な時なら、薄手の手袋等などなど。

というか、然るべき組織に属していれば、こういった踏むべき手順というか方法論があるの
かも知れないな。
独学ゆえにここに至るまでに時間がかかってしまったけど、来季はこれらの事から得た教
訓を活かして、よりスキルアップを図ろう。

2011年2月20日日曜日

美笛の滝 2011.2.20

美笛の滝。
ここも以前から存在は知っていたけど、初めて訪れた滝だ。
滝は大きく分けると2段になっていて、1段目の氷瀑を登るとその上には箱庭のように次
の小さな氷瀑がある。
僕個人的にはホテルの中庭のようで、どこか楽しげな空間だった。(笑)
氷瀑の横にはドライツーリング、あるいは普通にクラッククライミングも楽しめそうなクラック
の走った岩もあった。
ただ、夏場は滝でびしゃびしゃになるかも知れない。。


バーチカル。
3mほどの垂壁をトップロープで何度も登り、バーチカルな壁でも戦えるようになるべくトレ
ーニングをした。
垂壁でのリードはまだ怖いです。。

リード。
割と凹凸のある比較的易しめのラインだけど、自分には限界のリードでの登りに挑戦。
所感としてはランナウトして来るとやはり怖かった、、
フリーのようにいざとなったら掴めるヌンチャクがぶら下がっている訳もなく、クライムダウン
も自分には無理。
こうなるともう、自分を信じて心の平静を保ち、慎重かつ着実に登るしかない。
動揺しそうになるメンタルをコントロールしながら登った。
トップロープで登っている時はピックの先が少しでも刺さっていれば、まあ良いかと余裕こ
いて登っていたけど、リードで落ちたくないと思いながら登っているとピックの先が数cmは
刺さっていないと怖くて信用出来ない。
ベテランのクライマーなら、僅かなピックのかかりでワシワシ登ったり、フォールを恐れず登
って行くのだろうな。
自分もそこを目指したいところだ。
今回の僕の登りはアックステンションしてスクリューを入れたり、休んだりしながら、ようや
と登れたという内容だったけど、ともかくリードでランナウトしながら登れた事には技術面
よりメンタルコントロールでの大きな意義があったと思う。

今回、リードで登れた事にはとても達成感を得られた。
これまでも、一応、形の上ではリードで登ったりはしてるけど、今回のように取り付きから
懸垂下降の支点まで、まともに一つのラインを登りきったのは初めてだからだ。
夏場、フリークライミングをしているせいか、勝手に作った終了点的な概念に喜びを感じて
しまう。(笑)


シーズンも終盤。
後、何回、氷を登れるだろうか。
せっかく、リードの感覚を掴めて来たところなので、もう少し登りたいところだ。
標高の高い所やドライツーリングなど、もう少し、バイルを使ったクライミングを楽しみたい。

下部は右端の易しめラインを登りました。

2011年2月18日金曜日

定山柱 2011.2.18

知る人ぞ知る、アプローチがとても楽な氷、通称「定山柱」を登った。(トップロープで。)
ある程度長さのある氷は初めてだったので、とても楽しみだった。
だた、垂壁とはいえ、氷にはあちこちにへこみがあり、純粋につるっととした壁とは言えな
い壁は随分登り易い方だったのではないだろうか。
(なぜ、穴だらけなのかは不明。たくさんのクライマーが登るから?)
そんなぽこぽこと穴だらけの氷の中でも、よくよく目を凝らせば、まだ誰も登っていないと
思われる、ちょっときれいなつららの集合体のような氷壁もある。
そういった部分をちまちまと登り、垂壁という傾斜を体験した。

今回感じたのは垂壁になるととたんに腕がパンプ?して張って来るという事だった。
以前に登った、布引の滝(傾斜が比較的緩い。)では感じなかったような消耗を感じ、実
際、4本も登るとあきらかに身体のパフォーマンスが落ちている事を実感。
おそらく、アイスという慣れないクライミングのため、無駄なエネルギーをたくさん使ってい
るのだろうな。
こんな氷壁をいつかリード出来るようになるのだろうかと自信が無くなってくるけど、ともか
く、いろいろ考えながらよりたくさん登って、経験値を上げるしかないない。
最近はもう気温も上がりつつあり、後どれくらいアイスへ行けるか分からないけど、残り少
ない氷を登れる機会を有意義に登ろう。

2011年2月12日土曜日

港の滝 2011.2.12

先日、濃昼の滝が登れず、そのまま帰るのもなんだったので、どこか他にも登れる氷が無
いか偵察した。
探せばあるもので、なんと車から数十秒のところに写真のような立派な氷が。
(記録は確認出来ていないので、個人的に「港の滝」と呼称。)
規模も今の自分には十分。
画的にもとてもかっこよく、うれしくなった。
見つけた当日は夕刻も迫っていたので日を改める事に。

で、登る当日。
最も大きな氷をいきなりリードで登る実力は僕には無いので、まずは右端の小さな氷を登
る。(高さ3mちょっと。)
登り出してすぐに思った。
むむっ、、怖い、、、
小さいながらもさすがは垂壁だ。
スクリューを打ったプロテクションから少しでも身体が上がりだすととても怖い。
以前、布引の滝でリードした時はもう少しまともに登れたけど、今回はぐだぐだ。
3mちょっとの小さな氷である事を心の支えに(落ちても死にはしないだろうと。)身体を上
げる。
氷から上はガバガバの岩地帯。
バイルを肩にかけ、手で岩を掴み登る。(手で岩を掴みながら登るって安心だ。。(笑))
下降のための支点を作り、懸垂下降。
おおっ、何やらとても達成感。
こんな小さな氷でもリードで登り、地面に降りるための支点を自分で作り、降りてみるとと
ても達成感がある。
まあ、本体の氷をリードで登るにはまだまだ修行が必要だけど、いずれはいわゆる完登?
をしたいところだ。

その後は氷の下部でボルダー的にトレーニング。
バイルの持ち替えや前傾した姿勢でのバイル、アイゼンでのクライミング、などなどと自分
なりに次に繋がるようなトレーニングをした。

2011年2月5日土曜日

濃昼の滝 2011.2.5

前回、滝の右岸を登ろうとして敗退しているので、今回は滝の落ち口を目指し、国道より
海岸への斜面を降りた。
だいたいこの辺りかなと当りを付けた位置から斜面を降りるとすぐに沢形が目に入って来
た。
氷瀑は滝なのだから、位置的にこの沢がきっと海岸へ注いでいる滝の落ち口だろう。
沢を下るとこれまたすぐに以前目印として記憶していた立ち木を発見。
加えて、数日前に訪れたと思われる、クライマーの足跡も発見。
これはもう、間違いなくこの場所だなという確信を持ち、滝の落ち口に向かった。

滝の落ち口。
辿り着いてみるとそこには案の定、残地スリングやビナが。
懸垂下降を行うべく、僕もスリング等で支点をセット。
残地は信用ならないので、当然、自分で用意したもので行う。
懸垂下降で下降を開始。
だが想定外の状況がそこにあった。
滝の垂壁部分に差しかかる辺りで滝の下部を見下ろし思った事。

「・・・」
 ・
 ・
 ・
「・・・」
 ・
 ・
 ・
「・・・」
 ・
 ・
 ・
「滝、無くね?」

なんと、最も期待していた垂壁部分の氷が消失してしまっている事を確認。
数日前からの暖気のためか、最も太かった部分の氷瀑が崩落してしまったようだ。。
他の部分は自分の能力で登るには脆く難し過ぎるだろう。
てか、怖い。
残念だけど登る事を断念しかないな。
そう思い、懸垂で降りて来たロープを登り返す事にした。

ちなみに登り返し。
ちょっと(結果を考えるとホントはちょっとどころじゃいなのだけど。)背筋が凍る思いをした。
大雑把に書くと融けた氷瀑の間から飛んでた滝の飛沫でロープが凍り、その氷結してシャ
ーベット状になった氷にちょっと怖い目に遭わされたという事だ。
結果として登り返し時に選んだ選択肢によって、事無きを得たのだけど、もし、もう一つの
選択肢を選んでいたら…、という状況があった。(いずれにせよ、死ぬような事は無かった
と思うけど、心臓にはかなり悪い事になっていたかも知れない。)

前回に続き、今回も登れずにただ怖い思いだけをして帰って来る結果となった。。
まあ、得てるもの(アルパイン的な知識と実践経験。)はたくさんあるので、良いのだけど、
たまには普通にアイスクライミングを楽しみたいところだ。。(笑)